せどうの作業部屋

ウクライナ・ロシアを中心に世界情勢関連を翻訳、日常や趣味投稿も。

ハリボテの帝国: 嘘に嘘を塗り固めたロシアのプロパガンダ「西欧諸国はずっとロシアを滅ぼそうとしてきた」【スレッド要約】

【本記事は、noteとはてなブログで並行投稿しています。】

今回要約したのは、ドイツ出身の東ヨーロッパ専門家であり、ロシアのウクライナ侵攻後にドイツと東ヨーロッパ間の相互理解を深めるための研究機関、European Resilience Initiative Center (ERIC) を設立した、セルゲイ・サムレニーさんの投稿です。

 

https://twitter.com/sumlenny/status/1615734524385558534?s=20&t=oLo01zFIN-zr_reehWTW7Q

 

このスレッドは、同日に行われたプーチン大統領のスピーチを受けて投稿されたものですが、こちらも国民を操るためのロシアのプロパガンダの実態を良く示していたので要約しました。

 

こちらがマストドンツイッターからの引越し先)での要約投稿です。

 

https://mstdn.jp/@ichikasedou/109711415548494465

 

以下、要約全文です。

・言い回しを数箇所修正、内容に変化無し。

・【】内は訳者の補足とツッコミです。

 

********

 

プーチンとラブロフが今日新たに宣言した、この戦争は

『WW2当時はヒトラーのもと、現在はアメリカの元に結束して行われている、数百年続く西側のロシアを滅ぼそうとする試みの延長』

であるという公式の論説は、全くもって新しいものでは無い。

 

ロシアはこの見方を、1812年のナポレオンの侵攻から使っているのだ。

 

WW2と同じように、この戦争は国際的な連合により治められた。

しかしこれはロシアの教科書では、ロシアは最後まで一国だけで戦ったことになっているのだ。【!】

 

ロシアの文献では、この戦争はナポレオンの軍隊ではなく、

『20カ国によるロシアへの侵攻』

と記されている。【盛り過ぎ……】

 

加えて、当時の欧州は、ロシアではひとまとめにされ、古い数字の読み方を使って『20』と呼ばれていたりする。

 

そして、

 

WW2はロシアの公式メディアでは

『20カ国』の『第2侵攻』

と呼ばれているのだ。

 

つまり、西側【ヨーロッパ】は常にロシアに攻め込みたがっている、ということになっているのである。

 

また別の視点から描かれる概念もある。

 

ナチス帝国は、『最初の EU』または『ヒトラーEU』と呼ばれているのだ。【はい???】

 

EU は、世界を奴隷にするためにナチスによって発明された」 - byロシア国防省テレビチャンネルの記事

 

EUヒトラーによって発明され、計画された」- by 4tv 【オイオイ……】

 

そんなわけで、プーチンやラブロフが今日言ったことは新しくもなんとも無い。

彼らはロシア人にはお馴染みのアイデアを再利用しているのだ。

 

去年の初め頃にラブロフが言及した、ヒトラーユダヤ人の陰謀論もそうだ。

WW2中、ナチスは実はアメリカによって支援されていたという考え方も、ソビエト時代の映画でよく使われていた。

こういった映画は、『真実を知りたい』と願う知識層【いわゆる意識高い系】にとても人気だったのである。

 

【要約以上】

 

 

********

 

如何でしょうか?

どこの国でも歴史は少なからず脚色されているのは事実でしょう。しかしここまで大きな嘘(他国と確実に食い違う)を盛り込むやり方に、私は幾度となく感じた呆れ混じりの驚愕を再体験しました。

WW2の勝利を毎年パレードで祝う週間もそうですが、この投稿で改めて、自国を神話化し、その一員であるということに誇りを持たせ、盲信的にその方針に従わせようとするロシアの策略を垣間見ることができたと思います。

 

それでは、今回はこの辺で。

ご一読感謝。また次回。

 

翻訳者・著者 瀬道

親露派のプロパガンダと対応策~ウクライナを応援しているひとへ【Part 2】

【本記事は自己note記事↓の転載です。】

note.com

 

今回の記事は、『プロパガンダ』の実態についてです。

「彼を知り己を知れば百戦殆からず」

孫子・謀攻編

孫子のこの言葉はあまりに有名ですが、Part 1でお伝えしたとおり、ロシアが情報戦において大きな兵力を展開していることは疑う余地はありません。

その構成員たちは組織的に教育を受けており、役割を果たすための戦術を共有しています。犠牲にならないためには、それを理解しておく必要があります。

まずは、そもそもの前提からお伝えします。

そもそも『プロパガンダ』とは

この言葉の定義としては「特定の思想・世論・意識・行動へ誘導する意図を持った行為」とされています。「ほらこっちの方が正しい/良いよ~おいで~おいで~」と誘う行為のことです。

広い定義ではテレビの宣伝や広告、政治家の演説、団体への勧誘、学校教育などもプロパガンダと呼ぶことが出来ます。まっとうで有益な主張も、定義としてはこれに当てはまるのです。しかし現代では、「嘘、歪曲、情報操作、心理操作」といったネガティブなイメージで使われることが多い言葉です。

この言葉は、いくつかの分類に分けることができます。この分類を理解しておくと、親露派と遭遇した際や、ロシアの荒唐無稽な主張を目の当たりにした際にとても気持ちが楽になると思います。「なんと馬鹿なことを!」と感情的になって消耗する代わりに、「あー、~のカテゴリの~番ね?教科書通りだねぇ。頑張ってるねぇ(皮肉」と(笑)

なので是非、さらっとでもいいので概念を頭に入れておくのをお勧めします。

プロパガンダの分類

まず、大まかな分類が以下です。(By Wikipedia

皆さんも良く目にしたであろう、ロシアの明らかな嘘や滑稽ともいえる主張はブラックプロパガンダと呼ぶことが出来るでしょう。時には真実かどうかがあいまいなグレープロパガンダを採用していると思います。

↓↓↓ロシアのブラックプロパガンダの例。「ウクライナは汚染爆弾を作っている!」と主張したが、全くのでっち上げ。資料に使われている画像も、スロべニアの放射性廃棄物管理機関のものだった(写真にもスロベニア語が映っている)。

上記の例のようにカウンタープロパガンダとして多くの人物や団体がその嘘を暴いて拡散していますが、これは同時にホワイトプロパガンダと言えます。ウクライナの現状を伝え、ウクライナの人々の意思を代弁するゼレンスキー大統領の言葉もそうですね。

また、プロパガンダ目的別に分けることもできます。

  • 目的①:自勢力やその行動の支持を高める

  • 目的②:敵対勢力の支持を自らに向ける

  • 目的③:敵対勢力の支持やその行動を失墜させる

ロシアは自国民に向けては目的①プロパガンダを展開し、海外に向けては主に目的②と③プロパガンダを繰り広げています。

ウクライナを既に応援している身としては、目的③が一番関わってくるところでしょう。SNS上であなたに不快なコメントを送ってくるのはこれが目的なのです。

Part 1の繰り返しになりますが、これらの輩に絡まれた際の対策はブロック一択です。向こうの目的が貴方を消耗させることである以上、関わってしまえば思うつぼなのです。

また目的②の例として、ロシア人がウクライナ人のふりをして、「電気をつけろ!ゼレンスキーを黙らせろ!」のハッシュタグをつけて投稿を多数行っていたことがありました。

↓↓↓以下はこの件に言及しているディムコさんの投稿。(彼は親露派ではありません。話題に言及しているだけ)

これは、爆撃により計画停電を余儀なくされているウクライナ人の不便さに付け込み、「ゼレンスキーが戦争を続けるせいで私たちはこんなに苦しい思いをしている!ゼレンスキーを追い出してロシアとの和平交渉を進めさせよう!」という世論が存在すると見せかけ、賛同を得ようとしていたのです。

人々は騙されず、ウクライナの人々も全く感化されませんでしたが。(大失敗!)

更に詳しく説明をしていきたいのですが、長くなるので一旦この辺で区切ろうと思います。次回は、もう少し細かいプロパガンダの技術や手法をご紹介していきます。

補足になりますが、既に投稿した記事には、プロパガンダの例やそれを推し進めるロシアの思想が紹介されているものもあります。理解を深めたい方は、是非ご一読ください。

それでは、また次回。

執筆者、瀬道

親露派のプロパガンダと対応策~ウクライナを応援しているひとへ【Part 1】

【本記事は、自己note記事↓の転載です。】

note.com

 

今回の記事は、「普段政治に興味がなかったけど、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに情勢を追うようになった」といった、私のように専門家ではない方へのアドバイスです。

ツイッターなどでウクライナ侵攻に関する気持ちや情報を呟くと、時にそれを咎めたり、間違いだと指摘したり、最悪あなた自身を蔑むような発言をする人物に絡まれることがあると思います。

これらの人物またはアカウントを、私のSNS界隈では『親露派』と総称しています。

全くおかしな理論でこちらを貶してくることが多いので、彼らに絡まれると非常に不快な思いをすると思います。迷惑アカウントとして通報できればそれでいいのですが、それほどの攻撃性は無い場合もあります。貴方の考えを改めようと論理展開してくる場合、一体どうすればいいのでしょうか?

親露派の正しい対応策

始めに結論を言ってしまいますが、親露派と問答しても無駄です。

なぜなら彼らは、それが嘘だと分ってやっている可能性が高いからです。

ロシアは大掛かりな情報操作を各国で行っています。数千人単位で動員し、一人でいくつものアカウントを操らせています。絡んでくる輩は、ただのおバカな人間なのではなく、その構成員が使ってるアカウントの一つかもしれないのです。構成員どうしで連携して、フォロワーが多いように見せているアカウントもあるでしょう。

ロシアのプロパガンダの一端。
複数のアカウントから投稿されたツイートの画像。
言語が違うものもあるが文章は同一。
同じ人間もしくはチームが組織的に行っていると思われる。
出典:https://twitter.com/Igor_from_Kyiv_/status/1595243859419824128?s=20&t=w3T_TNJ6mXORsTl15u_h4g

彼らが考えを改めることは決してありません。それが仕事だからです。彼らの役割は誤情報を広め、敵に味方する人々を攻撃し応援のモチベを削ぐことです。なのでいくらこちらが真実を伝えようが意味は無いのです。

これは『情報戦』の一部です。彼らはSNSなどのインターネット上で、世論の反映としての『多数派』の地位を勝ち取りたいのです。「ほら見ろ、多くの人が賛同している!私たちの方が正しい!」と。だからあなたの心が折れてくれれば、一人敵の勢力が減る。そういうことをしているのです。

なのでSNS上なら、絡まれたらブロック一択。なにか言い返すなんて、あなたの貴重な労力と時間がもったいない。その時間は真実を自分で見極め、それを広めることに使いましょう。

それが一番難しかったりするのですが、今回の戦争はロシアの手法があまりにお粗末なのでそこまでではありません。貴方がウクライナを応援しているのには理由があったはずです。それが信頼のおける情報源を基にしているのなら、自分の動機を疑う必要はありません。

また、日々ウクライナの現地からSNS上に上げられる情報は、全て自作自演だなどど言い切れる数では到底ありません。単純にそんなことは不可能です。ハリウッド映画並以上に説得力のある自然な映像や画像を準備するのに一体どれだけの予算が必要でしょうか???今まさに領土を攻め込まれているウクライナにそんな余裕は無いのです。

それでも、ウクライナの正当性を疑ってしまうような情報を目の当たりにすることはあると思います。なので、次回の投稿では、敵の作戦を少し学んでみましょう。

それでは、また次回。

執筆者、瀬道

↓↓↓ Part 2

「ロシアの侵攻も蛮行も、全く不思議ではない」バルト三国の対諜報部幹部が語るロシア【英文記事要約】

【本記事は、自己note記事↓の転載です。】

note.com

 

今回の要約は、ツイッターでかなり反響をいただいたものです。

原文の記事はエストニアの独立メディアであるエスティ―・エクスプレスのものです。著者はエストニアのフリージャーナリストEero Epner氏。英語への翻訳はAdam Cullen氏。

リンクがこちら↓

„Human Life Has No Value There“: Baltic Counterintelligence Officers Speak Candidly About Russian Cruelty The Estonian weekly Eesti Ekspress interviewed the heads and ekspress.delfi.ee  

ツイッターでフォローしていたウクライナ情勢関連アカウントがいくつも推奨RTしていたのがきっかけで見つけました。

読みながら要約ツイート連投していたスレッドがこちら↓

以下に見出しを付けてまとめておきます。

【以下要約】
機関名など一部修正、見出し追加、【】内は瀬道の補足です。


隣人たちのロシア批評

  • トゥーツ(Toots)氏はエストニア国内保安局(Estonian Internal Security Service、エストニア語の略称はKAPO)の職員。

  • 職歴30年のうちの半分はロシアスパイ対策部で、ロシアのために働くスパイを見つけるのが仕事。

  • 元上司でのちの部下が実はロシアからのスパイとして暗躍していたことが判明し、逮捕している。同僚の一人はロシアにさらわれている。

  • ロシア系が大半の東部出身なのでロシアのメンタリティは体験的に知っている。

  • エストニア人であることの強みは常に冷静であること。ロシア人は違う。感情的で、すぐに苛立ち、混乱する。」

  • 「ロシア人に論理は効かない」

  • 「状況が現実に悪くなるまで大丈夫なふりをする」

  • 彼らのなかに明確なボスがいないとそこは無法地帯となる

  • 「感情的だが同時に野心家で冷酷、残忍」

  • 彼らの性質を考えればブチャの惨劇も驚くことではないと

  • バルト三国エストニアラトビアリトアニア)の諜報員たちは彼らの性質をよく知っている。WWⅡの間もその前も、ロシア人は同じようにその地でふるまって来た。ずっと同じ。

  • 欧米の人間はそれを認識していない。 「欧米は幸運だ。我々がロシアと彼らの間にいるから。彼らは多くを忘れ、ロシア人を同類だと思っている

  • ロシア語話者の多い地区で育ったラトビア国家安全保障局(State Security Service)長官メジュヴィエツ(Mežviets)氏:「私はロシアのメンタリティを毎日目撃していた」

  • 「人々が『これはロシアの戦争ではなくプーチンの戦争だ』と言い始めた時、我々は心配になった」

  • エストニア国内保安局長官シニサル(Sinisalu)氏も同意。「国は洗脳できるだろうが、極端な排他主義は人々の中にもともとある

  • リトアニア国家安全保障局長官ジョナスキス(Jauniškis)氏はソビエト時代に従軍経験あり。他の兵士は常に優位に立とうと喧嘩を売ってきた。

  • 「従えば奴隷にされるから戦った。」

  • 「抵抗すれば尊敬を得ることもある。」

  • 喧嘩の傷跡は数えきれない。若い人員に、『ロシアは強さしか認識しないし尊敬しない』ことを教える際に使っている。

  • バルト三国の士官たちは皆、『ウクライナでの戦争はプーチンの戦争ではない』ことに同意。残虐性はプーチン個人のものではない。

  • 強姦、殺人、えぐり取られた目、首つり、燃やされた遺体は、ロシアの指導者によって採用された特別な手法ではなく、ロシア全体のもの。これを欧米の仲間は信じられない。

  • とある諜報員A「(欧米の)彼らはもっと純真で楽観的」

  • 諜報員B「『ロシアは信用できない』と説明しても彼らは信じようとしない」

  • 欧米人でもロシアを十分に体験した人員は理解しているが、政治家や国外諜報員たちのトップは分かっていない。

  • 彼らはロシア全体の一般論にするのを避けてプーチンだけの所為にし、自国と同じ性質があるはずと信じようとする

  • バルト三国の見解はまるっきり逆。彼らにしてみればウクライナ侵攻は驚きでも何でもない。ロシアの性質を考えれば当然の流れ。(驚きまくってた身としては耳が痛い……)そしれこれはいつかまた繰り返される。

長官たちのロシア実体験

  • バルト三国の長官たちは皆赤軍で従軍経験あり。当時の同志たちの様子を聞かれて、シニサル氏「白痴と愚かさしかなかった」

  • トゥーツ氏は日常的にデドフシシナ(暴力で後輩を従わせる行為)を目撃していた

  • バルト三国の国防職員たちはお互いと話すときは英語。ことわざを言い合えるほど流暢でもロシア語は使わない。

  • プーチンとその取り巻きに、上流階級で育った欧米のリーダーたちとの共通点はない

  • 知的で良心的で『まともな』ロシア人も大勢いるが、それは決してロシアの主流ではない

  • ロシアを知りたければモスクワとサンクトに行っても意味なし。そのすぐ外の村では、すべてが壊れかけていても文句を言うだけでそれを直そうともしない社会がある。

  • 『ロシアの人々には、苦痛が普通になっている。』

  • パリの人々を革命に駆り立てたような理不尽にも、ロシア人は動かない

  • 電気、舗装道路、屋内のトイレすらない村も多い

  • 食べ物すら不足するような場所で事業は育たない

  • 『強く偉大な国』に対する、ぼんやりとした帰属意識があるだけ

  • ロシアはWWⅡからまっっったく変わっていない

  • ナチスを理解するのにメルケル元首相やショルツ首相を観察しても意味はないが、プーチンロシアを観察すればWWⅡ時代のロシアがわかるほど。

  • 人々がロシアの蛮行を忘れたのは、たまたまそこにヒトラーナチスという強烈な存在があったから

  • ウクライナで今日起こっていることは、WWⅡでタリン、リガ、ヴィリニュスで起こったことの繰り返し

  • そのくせロシアはナチスを亡ぼし、WWⅡに勝利した』ことを(唯一の)誇りとしている 【参照↓】

  • シニサル氏「彼らは(WWⅡ時の蛮行の)責任を問われたことがない。それが彼らを無敵だと思い込ませている。」

帝国の幻影

  • WWⅡ時のロシアの戦争犯罪を調べている歴史研究家「過去に起こったことと、今日起こっていることはほとんど変わらない。変わったとすればより残酷で粗野になった点」

  • メジュヴィエツ氏「我々のロシアに対する分析結果は30年間変化しなかった。その主軸は『どんな手段を使っても、帝国という立場を取り戻す』というもの

  • 歴史家「彼らに国家(外国)という概念はない。あるのは領域と領土だけ

  • 周りに居るのは家臣か助力者だけ。他に選択肢はありえない

  • メジュヴィエツ氏「ロシアがソビエトの崩壊を受け入れることは決してない

  • ジャニスキス氏「彼らのマインドセットは征服者のそれだ。周りは全員敵」

  • 不当に扱われ復讐の機会を伺う子供のような精神

  • 問:『現代ロシア』のメンタリティのもととなっているものは?  ⇒ バルト三国長官一同:『イヴァン雷帝

【イヴァン雷帝は500年前に領地拡大成功したサイコメンヘラ皇帝(息子殺したりしてる)】
【『現代の』???いまだに???確かにやってることまんまだが……】

  • 確かに最近になっても、イヴァン雷帝ロールモデルとする記事が書かれていたりする

  • ここ最近になって、過去の紛争や戦争で現代を形作ろうとする動きが激しくなっていた(今日の侵攻の正当性を語るために、遠い過去の戦いを持ち出したり)

  • 領地拡大思想と復讐の精神を煽るために、ロシア諜報FSB職員は特にこの『教育』をしっかりと受けさせられる

  • 欧米に後れを取っている事実には、ロシア人は負け惜しみに「ロシアは特別だ」と考えるか、腹を立てるか、みじめに思うか、または国は略奪されたと信じているかのどれか

  • とあるロシア人「ロシア人は真実には興味はない。あるのは正義に対してだ」(その歴史的正義がファンタジーだとしても)

  • 現代のロシアの諜報やプロパガンダは数百年前と同一。シリアとアフガニスタンでの戦争は、その意図と行動は大北方戦争リヴォニア戦争と同じ

  • 現代ロシア軍の残虐性はスターリンのグラーグ(強制収容所)時代に培われたもので、ランダムな結果なのではなく意図的なもの

  • ロシアの厳格な階級社会、多様性への不耐性、限られた情報の中にある独裁主義、そしてその独裁主義を望む大衆(欧米が理解に苦しむ点)は、何世紀も前からそのまま

  • シニサル氏「ロシアの歴史的パターンは暴力だ。そこで人の命に価値はない」

  • ロシアの格言「他人を怖がらせるために自分の人間を殴れ」

  • ブチャはカティンの再現、オレニフカ刑務所の爆破は1941年に1200人の女性収監者を殺したサンビルの爆破の再現

  • 今のウクライナは1940年代のバルト三国

『私たち』との明確な違い

  • エストニアの企業家「ロシアにとってwin-winは負けを意味する。交渉の時でさえ勝ち負けが無ければならず、必ず彼らが勝たなければならない」

  • メジュヴィエツ氏「彼らにとって外交的な手腕や駆け引きは弱さを意味する。彼らが認識するのは強さだけだが、欧米側はロシアには自分たちと同じ価値観があると思っている

  • ジャニスキス氏は現代ロシアを中世モンゴルと同列に考えられると。リトアニアはモンゴルに対抗するためにロシアと手を組んだ歴史があるが、ロシアはリトアニアの動向を見て手のひらを返したと考える。「やつらは動物だ」

  • 歴史家「ロシア社会にそんな悪が存在するなど安直に考えたくはない。できればもっと崇高な考えを導きたい。だが単純にそれが真実だ

  • もちろんこの考え方は政治的には正しくないし、ロシア人すべてが悪人なわけではない。

  • ロシア社会の人間性を否定したくない人権活動家「ロシアは何世紀にもわたっておとぎ話の中で生きてきた。表現の自由すら享受していない。彼らに一体何を期待できる?」

  • あるロシアの劇場監督は反プーチンのリベラルだが、ウクライナ人は『人間』ではないのでクリミア占領は正しいと考えている

  • ロシアのメンタリティは『特別』。ロシアには独自のルールと価値観がある。

  • ロシアのジョークですら欧米では通じない。バルト三国だけが両方で笑える。

  • これをプロパガンダの所為にはできない。帝国主義排他主義、残忍性は、ロシアの教育や子育て、文化、価値観の一部となっている

ロシアの性質の普遍性

  • 1991年にソビエトが解体、バルト三国も独立した。しかしロシアが良い方向に変わると信じたのは欧米だけだった

  • 当時エストニア政府で働いていたバレ(Vare)氏「最短でも一年後には元のロシアに戻ると分っていた」それすら楽観的で、たったの数か月後には石油を利用してエストニアを操ろうとしてきた

  • バルト三国の対諜報部の職員たちはロシアは何も変わらないだろうと予測する

  • 歴史家「ロシアの学校では、子供たちに『ロシアはバルト三国を一時的に失っただけ』と教えている。誰もロシアのように国を治められないと」

  • ナワリヌイが奇跡的に指導者になってもメンタリティは変わらない

  • 欧米の望む、『ロシアの平和的な民主主義への移行』は、その歴史とマインドセットと現実を無視した幻想にすぎない

  • ウクライナエストニア大使クースク(Kuusk)氏はイジュームの集団墓地と拷問部屋を訪れた。「拷問をしていたのは田舎者ではなく、流暢なモスクワorサンクトの方言で話していたと聞いた」

  • ウクライナでの完全な敗北だけが、唯一の変化のチャンス

  • 歴史家「ロシアに影響を及ぼしてきたのはいつだって『力』だ。いくら他に方法があるのではと願っても、ないものはない」

  • ジャニスキス氏「彼らは他の国からの尊敬を残虐な方法で強制しようとする」

  • たとえウクライナで負けたとしても、ロシアのメンタリティ自体は変わらない

  • メジュヴィエツ氏「プーチンが死んでも同じだ。私たちの地域にとっては、指導者が誰であろうと脅威であり続ける」

  • ウクライナ侵攻はロシアには変化をもたらさなかったが、欧米のロシアに対する認識はわずかに変わった

  • だがそれも十分ではない。欧米人は人間らしく理解しようとする姿勢を保たなければ欧米人ではないと、「ロシアの一般人に罪はない」と主張する

  • シニサル氏「プーチンの戦争』と呼びロシア自体を非難することを避けるというのは馬鹿なこと

  • ロシアで革命が起こったのは、戦争に負けた時だけ

【モスクワ公国はクリミア進行に失敗し崩壊。
ロシア帝国は日本に負けて崩壊。
ソ連アフガニスタン進行に失敗して崩壊。
参照記事著者のカミル氏:「ロシアは貧困にも不景気にも圧政にも耐えられるが、小さな戦争における敗北だけには耐えられない」】

  • バルト三国でもロシアを『体験』した世代は老いて、ロシア語を話せる人口も減ってきている。言葉がわからなければ微妙なニュアンスを拾えなくなる。しかし前の世代の体験は失われない。

  • 戦争が始まってからバルト三国でのロシア諜報活動は僅かに弱まったが、それも一時的なものだろう

  • ロシアのバルト三国における諜報活動は、道具が変わっただけで方針自体は変わっていない

  • Toots氏が過去15年間で捕まえたロシア人スパイの数は21人。すべて起訴され有罪。「年内にまたニュースがあるだろう」

  • ジャニスキス氏「いつかロシア人は自分たちが何をしたのかに気が付くのだろう。その罪の意識は耐え難いものになるはずだ

  • 記事末尾の著者のストーリー:エストニアに帰って数日後は曾叔母の誕生日。百歳だがとても活発。だが戦争が始まってから眠れなくなったと。彼女の子供が言うには、「また強姦魔たちが帰ってくるのではないかと恐れている」のだと……


【要約以上】

参照として掲載したカミルさんの記事もそうですが、この記事は私たちからすれば信じがたいロシアの『異常』なメンタリティをよく示してくれていると思います。

これはバルト三国の人々だけでなく、タタール人であるカミルさん、そしてカザフスタン出身のアザマットさん(↓)の記述にも繰り返し現れています。

私たちの隣人でもあるロシアに関して、その脅威と戦い続けた人々の言葉を、私たちはよく聞いておいた方がいいのでしょう。

それではまた。

翻訳者、瀬道

「ロシアの無い世界など、誰が必要だと思うか?」プロパガンディストによる若者たちへの演説【英語字幕翻訳】

【本記事は、自己note記事↓の転載です。】

note.com

 

今回の翻訳は動画です。ロシアのプロパガンディストが10代と思われる子供たちに向けて行ったスピーチになります。

ロシアがどのような理論を使って国民を扇動しているかを垣間見ることが出来るのではないかと思います。

ロシア語を英語に翻訳してくれているのは、『Rossian Media Monitor』(ロシアメディア監視)と称してツイッターYouTubeで字幕付き動画を公開してくれているジュリア・デイビスさん。

この動画に関する投稿がこちら↓

YouTube動画がこちら↓(早送りで見たい時など便利)

このスピーチを行っているのは、恐らくロシアで最もメディアの露出が多いプロパガンディストであるウラジーミル・ソロビエフ(Vladimir Solovyov)

経済制裁でイタリアの別荘を差し押さえられたらしく、かなり頭にきているようです。)
(しゃべっているときにたまに突然舞台演技みたいのが入るので、私はいつも見るに堪えない……)

とても長い文章になりますが、ロシアという国がどんな理論でウクライナ侵攻を正当化しているのかを是非ご覧ください。(私が既に上げた他の投降ともつながる部分が多いと思います)

因みに動画も、言葉は分からなくてもどんな口調で、どれだけの熱意をもって語られているのかを是非聞いておいて欲しいと思っています。

【以下字幕翻訳】
※()内は翻訳上の補足で、【】内は背景補足(時にツッコミ)です。


話をしよう。

何を持って我々は確実に勝てるなどと決めつけるのか?
なぜ我々は、正義(ロシア)は悪に必ず勝つと決めつけているのか?

多数の企業家たちを見てみろ。
彼らは嬉々としてロシア国籍を放棄し、
ロシア人であることを恥としている。
一体何人の人間が海外に移住した?
「貴方は分かっていない。これはとてもひどいことだ。
国が隣国と戦争をしている。
私たちはそれを受け入れられない」と言って。

彼らには、『母国』という概念が無い。
勝つためには、まず己に打ち勝たなければならないのだ。

頻繁に、人々は考えもせずに英雄的な行動に出る。
感情やプロフェッショナリズムをもとにして。
彼は多くの場合、(その後に)最も高位の勲章を得ることを知らない。
彼は困難な仕事をこなしているのだ。

だが何人かは違う方法を取る。
これは彼らには関係のないことだと考え、
ヴェルフニー・ラース(ジョージアとの国境)に群がり、
ロシアから逃げ出そうとする。(動員を機に国外脱出した人々)
万が一にでも、何か起こった時のために。
彼らは恥を感じないし、我々も彼らに何も言わない。

モルゲンシュテルン(ロシアのラッパー)はロシアでとても人気があった。
あのタトゥーのある〇〇ったれは今どこだ?(侵攻初期に海外移住)
皆、(マキシム・)ガーキン(ロシアのコメディアン)と楽しい時間を過ごしていた。
彼は今どこだ?(侵攻初期に海外移住)
母国に汚物をまき散らしている。
一体何が起こったというんだ?

いつこのエスカレーションは始まったのだろう?
8年間に渡って、NATO各国は彼ら(ウクライナ)に武器を送り続け準備をさせてきた。【嘘】
そして30万人以上の人を接触線上に送ってきた。
【嘘。NATOは各国からの軍事支援のみで軍隊をウクライナに送ってはいない】
彼らは血の匂いも味も知っている。

プーチンは国民が見下すウクライナ『ごとき』に負けた場合、政権を奪われるのが確実。だから国民にはNATOや米国の関与を必死に強調している】

ロソフォビア(ロシア嫌悪)は留まることを知らない。
あらゆるロシア人が嫌悪の対象だ。
まるで自分自身の兄弟を嫌うときにように。
カインがアベルを嫌ったように。(旧約聖書、アダムとイブの子。カインはアベルを妬み殺害)
聖書で語られる憎しみが育ってしまった。
我々の兄弟のようなウクライナの人々の中で。

ウクライナ人を『野生児』だなどと見下して何百年も差別してきたのはロシアの方。古い文献からもその様子は伺える。】
【そしてロシア嫌悪が膨れ上がったのはロシアが今年攻め込んでから。両言語しゃべれる人はロシア語をしゃべらなくなった】

もし我々が(2月)24日に介入しなければ、
数百、数千の犠牲者が出たはずだ。
【嘘。ロシアが攻め込まなければ何も起こらなかった】
そこにはまだくすぶる瓦礫ができ、
全ては遺体で埋め尽くされていただろう。

我々は既にウクライナを打ち負かした。
ウクライナの軍事企業複合体は
最初の6~8週間で消え去っている。
今となっては長い間、私たちはウクライナと戦っていない。
今あの場所に居るのはNATOだ。【嘘】

やつらは彼らに非常に多くの武器を届けている。【嘘】
その数は恐らく、どのNATO加盟国が持つよりも多いだろう。【嘘。ウクライナは開戦後に多くの支援を受け取ったがそれでもそこまで多くは無い】
米国を除いてだが。

彼らは全てにおいて満たされている。
そして我々は孤独だ。
仲間は少ない。
我々1億5千万人しかいない。

NATOは我々と敵対している。【嘘。NATOは現時点で直接交戦をしたいとは思っていない。むしろ必死に避けている】
NATOの経済圏もそうだ。
それは世界経済の50%だ。

我々は、一体何を持っていると言うんだ?

そうやって理由づければ、
ゴリアテダビデを打ち負かすことはなかった……
いや、「ダビデゴリアテを打ち負かす」だ。(言い間違い)
旧約聖書、少年ダビデが巨人戦士ゴリアテを倒すという逸話から、小さな者が大きな者を倒す例え)

【大きいはずの自国、しかも攻め込んだ側であるロシアを小さなダビデに例え、小国だと認識されているはずのウクライナを巨人ゴリアテに例えている。間違ったのも本心が出たからか。演説としてどうなのか……】

ゴリアテは簡単にその体躯でダビデを踏みつぶしてしまうだろう。
ずば抜けた身体能力を持った巨大な戦士だ。
ダビデは彼に立ち向かった。
控えめな体躯と、控えめな身体能力で。
そして勝った。
なぜなら神は力ではなく、真実に宿るからだ。【だとしたら嘘ばかりのロシアには宿らない】

我々は勝つことが出来るだろうか?
まるで何も起こっておらず、NATOとの戦いも存在しないかのように生きていて。

動員が発令され、突然それは明らかになった。
最初に逃げる者とそうでない者。
頑健な者と、40歳以上の者。
若者たちはどこだ?

(今)周りにいる人々を見て、こんな風に考えるだろう。
まるで虹を排出する妖精たちのようだと。
周りにいる皆はとても可愛らしくて、優しくて、
あそこにはカメラがあるし、チュッパチャップスも貰える。

だが世界は残酷で恐ろしい。
この世界では人間が造られた瞬間から、
ほとんど毎年戦争がある。
戦争が無かった年数は、
両手の指で数えられるほどしかない。
人類史全体に渡って、だ。

我々は、他人の痛みに気づかずに生きてきた。
私たちは西洋のシステムに適合しているのだと信じて。
そこに英雄は必要なかった。
トランスジェンダーがいる世界だ。
そこでの主要な問題は、
子供が彼自身の性別を選ぶ権利があるかどうかだ。

【これは西洋の文化を否定するために引き合いに出している。ロシアは性的マイノリティー(に限らずあらゆる少数派)への差別が大きい。LGBTQの勢力を打ち負かすために戦うのだ、などと戦争の正当化に使ったりもしている】

突然、戦争がやってきた。【戦争を始めたのはロシア】
これが何を意味するのかと言えば、我々には別の経済圏が必要だということだ。
そして別の軍事工業地区も。
全てが別離する必要がある。

しかしそれを加速して実行する間、
男子は今あるもので戦わなければならない。
強大なNATOを相手に。【嘘】
どちらにしろ、(勢力を)すり減らさなければいけない相手だ。
我々は勝利を披露しなければならない。

我々の中にはそれに足るだけの強さと英雄が存在するだろうか?
西から攻めてくる完全悪を打ち破るための。
西からやってくる完全な嘘をも。【嘘を国民についているのはロシアの方】
我々は世界で最も中傷されている民族だ。【開戦後はその通り。自業自得】
我々は欧米に導かれるのに慣れてしまった。
大きなものの一部でいる感覚にも。
いつもあちらのどこかに居て、彼らの後をついて回る。
とても便利だからだ。
我々は30年間、それが普通だと思って来た。
このままのやり方で生きていくのは不可能だ。

選択肢は非常にシンプルだ。
今までの生き方が消え去るか、私たちが消え去るかだ。
私たちは勝てるだろうか?
(間(溜息))
ロシアの無い世界など、一体だれが必要とする?
それが私たちの大統領(プーチン)の言った言葉だ。
そのため、世界には2つの選択肢がある。
一つ目は、私たちが勝利する。
彼らは2つ目をいやがるだろう。【負けを前提にした世界に向けての核の使用を示唆】
全く好きにはなれないはずだ。

勝利は簡単でも、素早く手に入れられるものでもない。
我々は勝利にふさわしい存在にならなければならない。
恐怖に震えたり無駄口を叩いたりするのは少ない方がいい。
そして毎日一生懸命働くことが必要になる。

例えば、君たちは今ユニフォームを着ている。
今が準備を始める時なのだ。
君たちが気が付く前に、その時はやってくる。
楽しいゲームのように見える準備の後に。
気が付けば君たちは英雄たちと肩を並べていることになる。
そしてその年齢になったならば、
(外国からの)嫌悪を向けられる覚悟をしておけ。
仲間から向けられるものも含めてだ。
なぜロシアが存在しなければならないのかを理解できない仲間たちからの。

いつも同じだ。
年取ったノアは孤独だった。(旧約聖書の『ノアの箱舟』から)
息子たちと妻たちと、たった8人だけだ。
しかし彼らが人類を存続させ、救ったのだ。
周りの人々はノアよりものをよく知っていると思っていた。
だけどそれは彼らを救わなかった。
生き残ったのはノアと彼の息子たちだけ。

我々は勝たなければならない。
多くの市民が毎日犠牲になっている。何のために?
一体何のためだ?
彼らのおかげで、嫌悪は自然だ。(???)
そして我々はただ難しい仕事をしているだけ。
私たちは深刻な病に侵されているウクライナの人々を治しているのだ。【ロシアの一部になりたくないウクライナは異常で、『治療』されなければならないという論理】
我々は彼らを癒す。
そしてその後、次の人々も。
戦争に関する真実を捻じ曲げることが出来ると思う人間たちだ。【幾度となく捻じ曲げているのはロシアの方】
我々の動機は正当なのだから、勝利は我々のものとなる。


【字幕翻訳以上】

以下は要点おさらいです。

  • 簡単に勝てるはずだというそれまでの前提を覆しておく

  • 国外への逃亡を批判

  • NATOの関与を主張し(嘘)、敵の強大さを強調

  • ウクライナ人のロシア嫌悪と虐殺を強調し(嘘)、自分から始めた戦争を正当化

  • 旧約聖書の逸話を持ち出して、ロシアを大きな困難を打ち砕く小さな英雄に例える

  • 自国が正義であると何度も強調

  • 戦争とは程遠い感覚で生きる若者たちに準備するよう呼びかけ

  • 欧米の文化の否定と別離の宣言

  • 「勝てないのなら世界などいらない」と自国の重要性を強調

  • 旧約聖書の逸話を再度持ち出して、批判されてもやり遂げるべきだと釘を刺す

  • 「私たちは異常なウクライナ人を『治療』している」と戦争を正当化

こちらの記事をご覧いただくと、よりこれらの論理の背景が理解できると思います。

いかがでしたでしょうか。ロシアの論理がいかにめちゃくちゃなのかを実感していただけたでしょうか。

(きっと、第二次世界大戦ごろの日本も似たような感じだったのかなとは思っています。)

戦争が終わったとしても、ロシアが国際社会で受け入れられるまでは本当に長くかかりそう……。

それではまた。

翻訳者、瀬道

ブチャの惨劇を目撃した亡命元ロシア兵の証言【英文記事要約】

【本記事は、自己note記事↓の転載です。】

note.com

 

今回の要約(ほとんど全訳)は、ロシアからスペインに亡命した元ロシア兵に関する『インサイダー』の記事です。こちら↓

“Everyone was going crazy, there were robberies, a mother and daughter were raped”: ex-soldier on Russia’s Bucha war crimes Russian soldier Nikita Chibrin of the 64th Motorized Rifle Br theins.ru  

ツイッターで私が投降したスレッドがこちら↓

彼の言葉は、ロシア兵による市民の虐殺と戦争犯罪が大きく報道されたキーウ近郊ブチャ(Bucha)と、ロシア軍の実態に関する貴重な証言となる可能性が高いでしょう。

(未だにブチャの惨劇を自作自演だと言う人がいるようですが、彼の証言以外にもたくさん状況を記録する動画や画像はありますし、もういい加減にしてはと思っています……)

【以下記事翻訳】


・スペインに亡命申請中の元ロシア兵ニキータ・チブリンは、ブチャでの戦争犯罪を問われている第64機動狙撃部隊に所属していた。

・「略奪があったのは事実だ。LypivkaとAndriivkaで車が盗られるのを見たし、(ロシア兵が)エンジンをかけられなかった車を壊したのも、家が破壊されるのも見た。」

・「彼ら(ロシア兵)は狂っていったんだ。俺たちには力がある、戦車がある、(歩兵戦闘車)もある、武器もあるだとか言って。『ランボー症候群(映画のキャラクターを模して)』が始まったんだ。家々から宝石や携帯電話も盗んでいた。」

・チブリンはAndriivkaで女性がレイプされた事実も証言

・「このことも皆おかしかった。多くが(侵入した)家で酒を見つけて酔っぱらっていた。Andriivkaでは母親と娘がレイプされた。やったのは4人だ。一人は逃げて、残りは他の兵士や指揮官たちに椅子で殴られボコボコにされていた。(兵士は)打ち殺されたがっていた。証拠が無いから責任を問われることは無いと、ただ免職されただけだった。(捕まることなく)離されたんだ。」

前線でのロシア兵たちの状況はひどいものだったとも言及。

・「彼らは長いこと『普通の世界』から切り離されていた。 彼らが居た前線は普通の状況じゃない。ウクライナ軍は全て揃った『人道的な』塹壕の様子を公開していた。シェルターがあって、断熱処理されていて、普通のベッドがあって、電気がある。ウクライナ軍の自軍の兵士たちに対する態度は(ロシア軍より)ずっと良い。」

・ロシア兵たちは、必ず家に帰れると約束されていた。しかしロシア軍の司令官たちは、前線を離れたがっている兵士やウクライナ軍に捕まる可能性のある兵士たちに物理的、心理的なプレッシャーをかけ続けていた

・「皆が脅されていた。ペニスや睾丸を切り落とすだとか、他のことをするだとか。」

・チブリンは前線に送られないように、精神的に病んだふりをしたと。撃つのを拒否して逃れたことで、知り合いや友人、家族にすらも拒絶された。

・「俺は母国にとっては裏切者でしかない。戦争でウクライナの市民を殺すべきだったか?それとも刑務所へ?3つ目の選択肢を選ぶしかなかった。ただ去ることだ。

・チブリンは国際裁判所で証言することを望んでいる。

・「私に隠すことは何もない。これはロシアが始めた犯罪である戦争だ。これを終わらせるために出来る限りのことをしたい。」

・チブリンは経済的な理由からこの夏に自らロシア軍に加わった。彼の部隊は騙されてウクライナに送られてしまったと。

・戦場に放り込まれてから1か月はキーウから50㎞のLypivkaの村で過ごした。この間に、彼の戦友たちはブチャとAndriivkaで虐殺を行った。

・6月16日に、チブリンはロシアに向かうトラックに隠れてウクライナを去った。その後Gulagu.netの人権活動家に連絡を取り、ロシアを去るための支援を求める。11月15日にスペインのマドリードに到着。即座に亡命を申請。受理されるまで、難民施設で過ごすことになると。


【要約以上】

彼が無事亡命を受理され、身の安全を確保されることを願います。

翻訳者、瀬道

 

【1月14日追記】

本件を扱ったCNNの日本語記事も見つけたのでリンクを張っておきます。補足情報も多くこちらの方が網羅的。

www.cnn.co.jp

ロシアの核と内戦とその未来【記事翻訳、概要Ver.】

【本記事は、自己note記事↓の転載になります。】

note.com

 

 

今回の投稿は、以前投降したこちらの記事の概要バージョンになります。

ichikasedou.hatenablog.com

博識なカミルさんが多くの知識を詰め込んでくださったインタビューなのですが、情報量が多いので、箇条書きで要点をまとめて再ツイートしています。

こちら↓

そんなわけで、こちらのスレッドもまとめておきます。

・見出しは全訳記事と同じです。
・実際はインタビュー形式ですが、ジョーダンさんの質問文はこちらでは省略させていただいています。

【以下要約】


ロシアと核兵器

プーチン的にはウクライナに負けるよりも米国に負ける方が(国内では)世間体が良い。なので核を使うとしたら米国を関与させる目的もある。

・ただしロシアの技術はソフトもハードも海外の先進国頼り。必要なものを用意させない限りはメンテすらできない。(軍用機の墜落多数、ATM更新不可能etc...

先進国の対ロシア方針における過ち

・欧米の問題は視野が狭いこと。負けても現政権か取り巻きがロシアを支配すると思ってる

・ロシアは現代に生き残った『植民地化国家』。ロシアは非植民地化、解体されるべき

・だが各国代表はロシアの地方とは話をしようとしてしない

・今のロシアはポルトガル帝国がブラジルを支配しているようなもの

ロシア現政権は崩壊に向かっているのだから現状で地位を持っている人間と繋がりをもっても意味はない

・今は現政権に借りがあってもそれが帳消しになって、負債者が権力を持つ可能性もある

・混乱は1年以内に起こる。それに備えるべき

プーチンと、それ以下の各階級との関係性

・ロシアは確かに過度に権力を中央に集約させた国だが、欧米各国もメディアもプーチンと取り巻きに注目しすぎ

その外のエリートにも自我がある。彼らからすれば国が崩壊するならそうなる前に前に出来るだけ富を蓄えたい

・戦争の助けにならない無駄なプロジェクトで資金調達して横領に励んでいる

プーチン世論を敵に回したくないので不都合な決断は全部地方まかせ。ロックダウンも地方の決断に任せた

・動員もそう。具体的なやり方は地方に丸投げ

・結果、特に若い治世者は将来に備えて『動員してるフリ』でごまかしたりしてる

・別の政策を優先して意図的に妨害しようとしたりもしてる

・動員までは、プーチンは地方から徹底的に武力を奪って来た(刀狩的)。警察、FSB、捜査官、国防軍……全て地方には指示権がない。全部クレムリン直下。SPですら個人で持つのを許さない

・それが動員をきっかけに変わった。地方は軍隊を自前で編成してウクライナに送るように言われた。

・これを利用して、私有軍を編成したけどウクライナに送らないで内戦に備えている地方もある (ちゃんと送ってる例はチェチェンのカディロフ) (単純にお金がなくて遅れない地方もある)

・ワグネル以外にも、書類上は存在しない『民間軍事会社』(傭兵部隊)はたくさんロシアに存在する

・この『しらばっくれて私兵を準備してる』地方はいわゆるロシアの少数民族ではない。つまりロシア系が多数を占める地域も内戦に備えたりしてる

ロシア一般市民にとっての『特別軍事作戦』

・動員されたくなくて海外に逃げた人は必ずしも反プーチンなわけじゃない

・逃げた先で「あんたの国もロシアに加わるべきだ!」とか言ってる(草

・逃げた人は経済的に豊かで将来に希望を抱いている人。逃げなかった人はあきらめてる人が多い

・理想とする主義と戦争で死にたいかは別の話(意味不明だが

・この戦争は、歴史で初めて一般兵に報酬が支払われている。死亡補償もある。場所によってはこれは法外な値段

・これが理由で戦争を支持してる人も多い

・貧しい地方では『死亡補償バブル』で経済が動いたりしてる

・一人の女性が次々と兵士と結婚して(どんどん死んでいく)大金を手に入れたり

・しかしこれも賛同を得るための現政権の作戦で、この調子で払われ続けることはない

・多くの人は騙されることになる

・しかし動員自体はロシアの反対派を黙らせる効果もある(抵抗すれば前線送り

・現政権は動員を地方の少数民族を減らす手段として使っていたりもする

ロシアの敗戦後シナリオ

・ロシアがたどる可能性のあるルートは3つ
①『北朝鮮化』
②『再起動』
③『国家分裂』

①:『ドンバス化』とも言える。現実にドンバスの治世術はロシア本土に徐々に適用されつつある。軍国主義化、経済の国有化、男性人口を防弾土嚢として使い、法治制度の残りを抹消……プーチン存命ならこのルート

②:現政権が反対派に権力を持たせて制裁緩和を狙う。(プーチンに責任持たせてトカゲのしっぽ切り)ただし適役が居なそう。ウクライナでのふるまいを見てると可能性はさらに低くなってる。

③:一番ありそうなのがこれ。現政権が地方の支配を失う可能性は高い。戦争に負ければ権威を失うし暴力を治世に重用してきたツケが回って、自国内の兵力が「ウクライナ『ごとき』に負けた」現政権に反旗を翻してもおかしくなはい。

声なき者たちの声

(この6か月間ツイッターでロシア情勢について語り続け35万人のフォロワーを得た経験について)

・現状のメディアのロシア論説は不十分、中央ばかり注目して地方がカバーされていない。その場所を代表する人がいないから

・例えばナワリヌイは地方では危険視されている。少数民族を撲滅しかねないと

・近々自分のリサーチ会社を立ち上げる。最初の論文のを準備中

・特に標的にされている(民族粛清)地方の人々が動員を逃れるのをサポートするプロジェクトを立ち上げる。応援してくれたらうれしい


【概要以上】

お読みいただきありがとうございます。

元の記事には関連図やリンクなども載せてますので、そちらもどうぞご覧ください。

ではまた。

翻訳者、瀬道