せどうの作業部屋

ウクライナ・ロシアを中心に世界情勢関連を翻訳、日常や趣味投稿も。

ハリボテの帝国: 嘘に嘘を塗り固めたロシアのプロパガンダ「西欧諸国はずっとロシアを滅ぼそうとしてきた」【スレッド要約】

【本記事は、noteとはてなブログで並行投稿しています。】

今回要約したのは、ドイツ出身の東ヨーロッパ専門家であり、ロシアのウクライナ侵攻後にドイツと東ヨーロッパ間の相互理解を深めるための研究機関、European Resilience Initiative Center (ERIC) を設立した、セルゲイ・サムレニーさんの投稿です。

 

https://twitter.com/sumlenny/status/1615734524385558534?s=20&t=oLo01zFIN-zr_reehWTW7Q

 

このスレッドは、同日に行われたプーチン大統領のスピーチを受けて投稿されたものですが、こちらも国民を操るためのロシアのプロパガンダの実態を良く示していたので要約しました。

 

こちらがマストドンツイッターからの引越し先)での要約投稿です。

 

https://mstdn.jp/@ichikasedou/109711415548494465

 

以下、要約全文です。

・言い回しを数箇所修正、内容に変化無し。

・【】内は訳者の補足とツッコミです。

 

********

 

プーチンとラブロフが今日新たに宣言した、この戦争は

『WW2当時はヒトラーのもと、現在はアメリカの元に結束して行われている、数百年続く西側のロシアを滅ぼそうとする試みの延長』

であるという公式の論説は、全くもって新しいものでは無い。

 

ロシアはこの見方を、1812年のナポレオンの侵攻から使っているのだ。

 

WW2と同じように、この戦争は国際的な連合により治められた。

しかしこれはロシアの教科書では、ロシアは最後まで一国だけで戦ったことになっているのだ。【!】

 

ロシアの文献では、この戦争はナポレオンの軍隊ではなく、

『20カ国によるロシアへの侵攻』

と記されている。【盛り過ぎ……】

 

加えて、当時の欧州は、ロシアではひとまとめにされ、古い数字の読み方を使って『20』と呼ばれていたりする。

 

そして、

 

WW2はロシアの公式メディアでは

『20カ国』の『第2侵攻』

と呼ばれているのだ。

 

つまり、西側【ヨーロッパ】は常にロシアに攻め込みたがっている、ということになっているのである。

 

また別の視点から描かれる概念もある。

 

ナチス帝国は、『最初の EU』または『ヒトラーEU』と呼ばれているのだ。【はい???】

 

EU は、世界を奴隷にするためにナチスによって発明された」 - byロシア国防省テレビチャンネルの記事

 

EUヒトラーによって発明され、計画された」- by 4tv 【オイオイ……】

 

そんなわけで、プーチンやラブロフが今日言ったことは新しくもなんとも無い。

彼らはロシア人にはお馴染みのアイデアを再利用しているのだ。

 

去年の初め頃にラブロフが言及した、ヒトラーユダヤ人の陰謀論もそうだ。

WW2中、ナチスは実はアメリカによって支援されていたという考え方も、ソビエト時代の映画でよく使われていた。

こういった映画は、『真実を知りたい』と願う知識層【いわゆる意識高い系】にとても人気だったのである。

 

【要約以上】

 

 

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如何でしょうか?

どこの国でも歴史は少なからず脚色されているのは事実でしょう。しかしここまで大きな嘘(他国と確実に食い違う)を盛り込むやり方に、私は幾度となく感じた呆れ混じりの驚愕を再体験しました。

WW2の勝利を毎年パレードで祝う週間もそうですが、この投稿で改めて、自国を神話化し、その一員であるということに誇りを持たせ、盲信的にその方針に従わせようとするロシアの策略を垣間見ることができたと思います。

 

それでは、今回はこの辺で。

ご一読感謝。また次回。

 

翻訳者・著者 瀬道